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山下晃明のブラジルで損せぬ法(200)(201)
【『実業のブラジル』200号掲載分をUPしました。合併号なので、いつもと違う題材にしました。サーモンの食べすぎは良くありません。】とのメールを山下さんから頂きましたが、ロングシリーズもついに200号突破です。今回は、4月、5月合併号とのことで少し趣向を変えて《ブラジルで損せぬ法》ならぬ現代に生きる恐ろしさゾーとする現代社会への警告です。【サーモンの食べすぎは良くありません】とのことですが、ブラジルに置ける日本食ブームを惹起し継続させているのは他ならぬチリ産の養殖サーモンでブラジルで刺身と云えばこのサーモン、握り寿司でも一番人気が有るのがこのピンクサーモンですが養殖魚が最も危険と云われると中々箸が出し難くなりそうですね。高くても遠洋漁業のマグロが一番安心?野菜、果物の汚染も気になりますね。牛のBSEや鳥のインフルエンザ等が自然界の仕返し自然調整作用の現れだとの警告には耳を貸す必要がありそうですね。
写真は、山下さんが傾倒しておられる陰陽学の飯田 亨先生の著『ナル ライフガイド2004』の表紙です。


グローバリゼーションへの自然の仕返し

 世界的に起き始めた牛のBSEや鳥のインフルエンザなどは集中飼育の行き過ぎに対する自然の仕返しと言う学者が増えてきた。
 
 無農薬野菜など存在しない

 恐ろしい話を3題提供しよう。「オルガニコ」と銘打ってスーパーで高く売っている無農薬野菜、農薬を全然使っていないものと思っていたが、専門家の話を聞いて愕然とした。
 土地の中和剤、除草剤、殺虫剤、消毒剤、成長を早める化学肥料など少なくとも20回は薬品を使っている。残留期間が短い農薬とか、使用量を減らしているから無制限に使用するのに比較して減農薬野菜に過ぎないというのである。だから日本の農林水産省も無農薬を検査しているのではなく残留農薬を検査しているのであると。
 「あんさんはトウシロでんな。戦後除草剤を使いだしてから雑草が強くなった。殺虫剤を使い出してから害虫が強くなった、いまや全くの自然農業は恐らく無理と思います。友人の家の近くに自然栽培でお米を作ってみた人が居ますが、田は雑草で原野と化し、その中に穂らしい物が覗いていました。どうやって雑草の種と米を選別するのですか。
 酸性土壌では野菜は育ちません。中和剤の石灰を怠ると直ぐに蟻が出て来ます。蟻を薬品以外の方法で防いだ人を聞いたことがありません。石灰で中和し、腐葉土、堆肥で有機質の土にしますが、するとミミズが発生します。ミミズを食べにモグラが穴を掘り、その穴を無断活用してネズミが出て来ます。いも類はネズミにやられてしまいますが、殺鼠剤は使いません。
 種を蒔けば何処で見ているのか多くの鳥が直ぐ出て来ます。ピーナッツは一寸石油を塗ると食べられません。
葉野菜が一番大変です。発芽した時や苗植えでもそうですが、鳥以外にイネコクゾウ、ヨトウ虫、アブラムシ、芯食い虫、蝶類の幼虫、コガネムシ、てんとう虫、収穫時には、カラス、タヌキ、その他に病気があります。病気は気候や連作障害に依っていろいろです。
 私は害虫の場合は薬を使わず、芯や葉を傷つけぬ様、串や楊枝を使い一匹ずつ逮捕,処刑しています。ある程度成長するまで毎日朝夕2回のパトロールです。
 病気の場合は伝染しますので、殺菌剤を多くて2回ほど指定濃度を倍に薄めて使っています。また、夏場の雑草取りも大変です。
雑草の種が落ちれば近所迷惑(隣の畑に対して)です。
 自分用の無農薬?野菜も移植した時に根元に一つまみの残留期間が短い殺虫剤を使いますが虫食いだらけになってしまします。」
恐れ入った。怖いのは食事を通して接収する有害化学薬品で体内に蓄積するものが、徐々に増えてある日、制限量を超えることになる。中国などからの農薬をふんだんに使用した輸入野菜や、ブラジルで農薬に無知な農民の作った野菜や果実を毎日食べるとどうなるか、これは未来の人類が証明することになるだろう。
 ブラジルでも遺伝子組み替え種子の研究、栽培と商業化規制の法案2401/03が二月に下院で承認され、大豆の遺伝子組み替え栽培は2005年まで延長された。身体への影響が話題になっているが、一回のみ味が良くて同じ種を植えるとまずくなるとうもろこしの種、一回目は極上で二回目は馬鹿芋になるじゃが芋の種芋など、いわゆるハイブリッド種は30年以上も前から存在する。世界中からの色々な食品を通して、既にふんだんに食べていて、いまさら何だと言いたくなるが、知らぬは仏とは良く言ったものである。

 化学薬品を使わない食品など存在しない

 こんどは講談社の「狂食の時代」ジョン・ハンフリーズ著だ。
小さじ一杯の土壌の中に一万を超える種が10億個生きているのを人間が農薬で破壊している。昔からある農園の生垣は、数え切れないほどの小型哺乳類や小鳥や昆虫のかくれがであり、住みかだった。これが機械農業で無くなった。
 現在の畑は除草剤、殺菌剤、殺虫剤、成長調整剤、茎の増強剤、人口の窒素などを何年もどっさりまいたので、土地が自力で回復するチャンスはない。今はミミズもいないから、小鳥もこない、はるか昔から地中で生きていた微生物も、ほとんど滅びてしまった。
 20世紀の終わりに遺伝子組み替え作物が誕生し、作物が自分の体内に毒を持ち、無視や菌類を追い払えるようになった。病害虫に毎年同じ戦術は適用しない、害虫や雑草が薬剤に適応し始め、農薬会社はさらに強力な薬を使い始めた。その結果害虫たちはさらに耐性をたかめた。
 遺伝子組み替え作物によって突然変異を起こした細菌が新たな病気を引きおこしている。院内感染も昔の抗生物質では太刀打ちできない強力な菌が増えたためである。抗生物質を農業に使うと、抗生物質に耐性を持つ多種の微生物が出現する危険がある。免疫機能の弱まりは、子供が肥満になるインシュリン非依存型の糖尿病は20世紀はじめの3倍に増えている。除草剤はホルモン攪乱剤であり、食品の化学薬品汚染は深刻な問題で環境ホルモン、神経性の異常、ガン、IQの低下、精子数の激減などの原因となっている。
 われわれは薬剤が残留した食べ物を食べ、薬剤に汚染された水を飲み、風に運ばれてきた薬剤の露を吸い込んでいる。食品添加物はスーパーに食品がたどりつくまでに3850種の添加物が使われており、人一人一年に4キロの添加物を食べているという。現在体内に500種以上の化学薬品が累積しつつあるが、これらは100年前には存在しなかった。
 ある病気になったとき医師がその原因物質を病気と関連づけるチャンスはほとんどゼロである。DDTの有毒性が大問題になったが殺虫剤の有毒性が問題になったのは1962のことである。
 水もそうだ。川から流れ出た有害物質が海に流れ込み、プランクトンがこれを吸収し265倍に濃縮、さらに小魚がこれを食べると500倍に、大きい魚がこれを食べると7万倍に濃縮される。それを食べる鳥や人間にも影響を与える。

 養殖魚は最も危険

 サケはもともと淡水魚として生まれ、川を何キロも旅して大西洋に出て一、二年後には元の川に戻り遡り、故郷に戻って産卵して死ぬのである。
 これが養殖魚が増えたためマスの遺伝子構造を変え、サケの帰郷本能が無くなりつつあるというのだ。養殖の閉鎖された場所では、攻撃的なサケは、互いにキズだらけになる。ここにシーライスという寄生虫がつく、また排泄物の感染症、ISAという魚のインフルエンザになる。対策としてエサに抗生物質を加えることになる。この抗生物質が細菌に耐性をつけスーパー悪細菌を作ってしまう。また養殖海域の海底はヘドロ化して汚染は一年や二年では消えないという。
 ダイオキシンやPCBはガンや脳機能障害や環境ホルモンや生殖問題に影響するが、これは魚の脂肪に蓄積される。肉食魚であるサケの養殖は脂肪の多い魚を餌にするので、養殖魚は特に危険となる。

 鳥インフルエンザも過密飼育の結果

 ニワトリの場合では抗生物質が成長促進剤になることが知られている。これで、成長の期間が40年前の半分の41日ほどになっている。
普通25000羽を同じ小屋に入れ、身動きもできない状態で人工照明で 日に30分だけ暗くする。夏場は過密で日に2000羽くらい死んでいても普通とのことである。 
 抗生物質を与えることにより、細菌が薬に適応するようになり、1940年代には黄色ブドウ球菌はペニシリンで処理できたが、90年代には95パーセントの菌が耐性を持っている。他の細菌も同様耐生を持ち、食中毒を起こすサルモネラ菌やO-157が強くなった。

 BSEは80年代までは無かった

 牛もホルモンを注射し乳牛の乳の生産を倍増させているが、大量のたんぱく質を与えないと衰弱してしまうので、飼料に他の牛の肉を少量混ぜるようになった。この飼料のせいでBSEやヤコブ病が生まれたとされている。実際にBSEが世にでてきたのは、牛を飼う農場が動物の背骨に有機リン系殺虫剤を吹きつけだした時代からである。
 1930年に死んだ牛の脳下垂体からとりだした成長ホルモンで乳を増やすことに成功したが、1990には遺伝子組み替え牛成長ホルモンを作り出した。牛の出乳と成長は加速したが、感染症にかかりやすくなり、そのたびに抗生物質を与えるようになった。以上が「狂食の時代」の内容である。
 
 誰にも予測のできない突然変異が起きる

 たまたま変異した病原菌が猛威をふるうとなると、誰も予測はできない。人間は抗生物質を普段から食料を通して大量に接収しているから、いざ必要なときには体内に耐性が出来て効かない。
 野菜も果物も、鳥も魚も肉も食べてはダメとなると一体何を食すればよいのか、いまのところは同じ物ばかり毎日だべるのはやめなさいということだけだろう。
 だがもっと重要なことはスーパー雑草、スーパー害虫、スーパー細菌、スーパーヴィールスは人間の過密生産方式で結果的に出来てしまったものである。鳥インフルエンザは人には移らないのだが、豚などに感染、豚は人間のヴィールスにも感染するので、鳥と人間のヴィールスを同時に持つと、突然変異で強力な人間にも害になるヴィールスになる可能性がある。
 今までになかった強力なものが、これからもいくらでも発生するという意味である。
 もしこれで将来人類が滅んだら、人類が自然の仕返しを受けたことになるのだろう。

 殺人インフルエンザの猛威は歴史的事実

 最後のとどめは「史上最悪のインフルエンザ」みすず書房 アルフレッド・W・クロスビー著で、この悪玉ヴィールス、スペイン風邪が第一次世界大戦のさなかに、たった4ヶ月で地球を一周し、一年間に少なくとも3000万人の死者を出した歴史的事実の書だ。 
 筆者はスペイン風邪の名前は知っていたが、一年間の死亡者数が第一次大戦中の前線での死亡者数の倍になるとは知らなかった。
1918年8月後半、スパニッシュ・インフルエンザは変異して、前代未聞の強い病原性を持つインフルエンザの爆発的な流行が、アフリカのシェラ、レオネのフリータウン、フランスのブレスト、アメリカのボストンという互いに数千キロも離れた3箇所の港町で、同じ週に起こった。約一年間で終息したが、病死では推定5000万人の史上最大の死者を出しており、原因、感染ルートなどいまだ謎である。またこれほどの事件が歴史的に戦争以上には重視されないのも謎である。
 
 陰陽学の自然調整期

 陰陽学の飯田亨先生によれば、自然はときどき自己調整をする。2004年からの30年間がまさにその時期で、すべてが変わり原点復帰する。土壌も水質も変えねばならない。細菌やヴィールスの発生も調整手段の一つ、政変も、戦争も、地震も自然の調整手段と言う。
 昆虫が異常大量発生すると、次のシーンは餌不足か病気発生で全滅となるのが自然法則であり、行き過ぎれば必ず戻すのが自然界の法則である。また自然界では虫も害虫も、菌もばい菌も、薬も毒も、善も悪も自然のサイクルでは共生するのが普通の姿なのである。
 我々が普段住む環境で、眼に見えるサイズのアリ、アブラムシ、ハエや蚊を目のかたきにするが、空気の中にも、絨毯の中にも、水の中にも、土の中にも、普通に見えるサイズ以下の無数の生き物とは平気で共生しているのであるから人間とは身勝手なものだ。自らの体内にも無数の菌や微生物がいるものである。大腸菌だって必要だが害にもなる。要するにバランスの問題なのである。これを人類が勝手に一部を排除したり、集積させてバランスを破壊する。
 最近、免疫力が低下を防ぐ自然治療の漢方医学の自然治療力が世界的に注目されている。病気になってから外科手術や化学薬品で治療するのではなく、病気原因を根本から取り除き予防する考え方が非常に優れているとされるのである。
 自然の行為には自然法則があって、無駄はないと仮定すると、最近の鳥インフルエンザやBSEなどの出来事は調整活動に違いない。グローバリゼーションの是非を問うのではなく、その結果がインバランスになれば、再びバランスをとる動きが出てくると理解する。もし集中大量飼育や生産が地球の環境を破壊するのであれば、それを続行できなくする動きが起きる。 
 したがって、人類の英知が解決方法を発見できなかったときは、鳥インフルエンザもBSEもさらに強烈なヴィールスが発現するかもしれない。
 人類による科学の進歩は、自らの流れを変えている。自然と人間は一体にになって、是正を繰り返している。ヴィールスに対する抗生かアンチヴィールスの関係となる。ただし、一度完成した技術は消え去らないから、原点に戻るといっても、昔の元にもどるのではなく、新しい条件で元の状況に戻ることになる。 
 自然は全体の結果が良くなるように自己調整するのであって、個々の結果をみているのではない。従ってある事業の場合でも、一度調子の悪くなった事業が回復しなくとも、新しく類似の原点復帰事業が出現すれば、自然にとってはそれで良いことになろう。


ブラジルで損せぬ法  連載 201 6月号   山 下 晃 明

日本短信・政治も気候も少々異常の日本

あたらない天気予報

スーパーコンピュータを駆使して一日中放映している天気予報が全然あたらない。
6月初めから「今日から梅雨に入ります」と何度も言っているが、傘を持って外出すると、「秋晴れ」?のように地平線まできれいな青空になる。
日本海と太平洋に強い異常高気圧があって、梅雨前線が日本列島の上に来なくて、6月は天気予報丸はずれのカラ梅雨です。本土直撃の台風4号も熱帯性低気圧に変ってしまう。

時事解説か漫談か

社会保険制度審議の国会討論を見ていたが、問題の核心には迫らないで漫才以下、マスコミもニュ−スの漫談的討議が当たり前になっている。昔のおじさんのだらだらニュース解説は困るけど、国家重大事件を漫談にするのはどうだろうか。番組としては面白いけれど国の将来を見る真剣さが非常に欠ける。政治家にも国民にも、国家の課題の重点順位が理解されていない。政党論争やマスコミの論調は感情的、興味本位であるが、これでは長い目の国策を誤りませんか。

一方的情報公開戦争

北朝鮮の場合は、日本側はマスコミの拉致家族の取材、専門家や政治家の討論による徹底解説で、手の内をごていねいにも日本政府の考え方まで憶測して、裏の裏まで相手にテレビで見せているが、相手の情報はそれこそまったくない、これでは相手に手玉に取られてしまうが、これで有利な国家間交渉ができるだろうか。真剣な問題だと思うけど。

平和日本と緊張感の欠如

経済は大企業中心に回復に向かったというが、私見をいうなら、もう少しマイナス成長のきびしさ緊張感を続けてほしかった。
不況だというが、日本人は今でも世界一のスーパー金持ちである。ヨーロッパの高級車を乗りまわし、週日のファミリーレストランは奥さん達でいっぱい、通勤女性は高級品を身にまとい、小学生まで高級セルラーを持ち歩く、ふるさと創生で日本中に温泉が出来て中年以上は日本列島を歩き回るといった風景は世界でも日本だけの平和ムードである。
今現在、戦場である国や、経済発展へ離陸中の国の真剣さに比して、日本は国全体が危機感なしのだらけムードである。
最近起きたことだけでも、社会的に犯罪年齢が急速に下がる傾向があって、小学校の女生徒が殺人、中学生の援助交際、強盗の老人殺人、始まったばかりの介護保険にもはや詐欺不正が発生、大銀行への果てし無き赤字補填、大自動車メーカーの不良隠しなど、不真面目ムード。未来への戦略的投資意欲はまったくなし、当然ブラジル向け投資など誰も考えていない。

 軍の暴走

自衛隊の軍隊化は国民の知らぬ間にどんどん進んでいる。最近政府専用機の機内食の汚職が発覚したが、自衛隊に力を持たせて、将来、軍が力を持って暴走し始めたら、誰が 抑えることができるのだろうか。

誰でも持っているセルラー

日本のセルラーはすごい。200万画素のデジタル・カメラ付き、インターネットのカラーのホームページも受信する、カラーのカーナビも出来るとそのサイズよりは信じられない機能がある。画像の編集、3Dゲーム、3Dキャラクター画発信などあたりまえ、携帯さえあれば、後は何もいらない、小中学生の方が最新モデルを持っている。恐れ入りました。

電子本時代のスタート

ソニーの新電子本が四月末発売された。
わずか190グラムと非常に軽くなって、文庫本 サイズで内臓メモリー使用で20冊分、ステイックメモリー使用だと500冊分が入る。
送信電子本はダウンロード後60日間読める。電車の中でも片手で見れるようになって、一歩電子本時代に近づいた。文字拡大も可能、朗読もしてくれて便利である。将来モノクロからカラーになり、インターネット直接受信可能になれば一気に普及するだろう。
紙の書物の流通は、書店への送料、返品の送料と管理費と返品破棄の費用がかなり大きなロスになっていて、コストの大半を占める。 将来、在庫ゼロ、本の輸送必要なしの商品になれば、紙からインターネット電子本に変更する格安雑誌が出現するだろう。

アメリカ人観光客はお気の毒

サンパウロ空港で、帰国入国手続きのとき感じたか、アメリカ人観光客には誠にお気の毒である。朝7時到着だったが、指紋捺印の入国審査官が来ておらず、長い列で待たされていた。これほどアメリカ人にいやがらせをして大丈夫かルーラ大統領。

ブラジル輸入PIS/COFINSの脅威

ついに開始となった。輸入通関時にPIS 1.65%とCOFINS 7.6%を払う暫定措置令164は4月30日国会を通過、5月1日施行された。ところが施行細則が無いことと、折からの税管吏ストで、例外項目が明確でなく、納付方法を問い合わせても誰も知らず返事がもらえず、5月半ばまで大混乱、その後納付が開始されたが、1日に遡って適用され、それも延滞罰金37.5%が付くといったもので、いつものことながら輸入業者は泣かされている。

世界一の重税国に

2003年度の税収額はGDPの35.68%とのことだが、今年のPIS/COFINSの増税が加わると、40%になるのではなかろうか、国民はよくも耐えているものだ。 政府に減税をうながす国民運動は起きないものだろうか。36%はあくまで平均値であって、商品によっては贅沢品でなくても50%を超えるのである。税金のために働く世界一の重税国になった。

中国への本格的アプローチ

5月23日から27日まで、ルーラ大統領は専用機の他にチャーター機と準備に先行の政府関係者50名と合わせて600名近くのブラジル史上最大のミッションを編成して中国を訪問、北京での初日の会議の参加者3000名とのこと。少々白髪三千丈的な感もするが本当の数字らしい。 
今回の訪問で15案件の調印が行われ、ブラジルが中国に本格的に取り組んでいるのは確かである。この中には従来の大豆と鉄鉱石の他に、ウラン鉱の輸出やEmbraerの飛行機組み立て、ヨーロッパ経由の北京直行便、燃料アルコールやアルコール車の輸出などが含まれている。またマナウスFZ以外にも、マラニョン州への製鉄所、パラ州でのアルミナ生産プロジェクトやバイア州へのガスパイプラインのプロジェクトなど北伯や北東伯の政治家を喜ばせる戦略的に注目される項目もある。
年間15億リットルといわれる燃料アルコール計画は、急速な工業化で大気公害汚染の国際圧力に悩む中国にとって非常に重要である。
また石油開発に投資の話もあり、中国に対する石油輸出国になる可能性がある。
中国から気動車50輌に加えて貨物車1000輌を輸入する話があるが、当然のことながら、鉄鉱石輸送船団など中国への輸出回廊や輸送手段が大幅に整備されるだろう。
ミッションが行く前は、大統領が日本に立ち寄らないのを問題視する人もあったが、結果を見てこの声は消えてしまった。仮にルーラが日本に行ったとしても、これほどのお膳立てが出来るかというと、今の日本にはまったくその可能性がないからである。
貿易額で見ても、ブラジルからの対中国輸出は2002から対日を抜き去り、2003には日本の倍と延びており、来年には米国につぐ第2位になるといわれる。輸入も現在第5位だが、今年は中国からの輸入が日本を抜いて第4位の輸入相手国になるだろうと言われている。
日本の南米に対する、戦略価値認識の欠如と、体たらくを危惧するものである。

BRICS

今世界はBRICSといってブラジル、ロシア、インド、中国、南アの経済発展に注目しているのであるが、その内の二つが強力な協定を結ぶことは、米国にとって脅威であり、ブッシュ大統領あたりがカリカリしているに違いない。 ALCA交渉がうまく進まない米国は、イラク戦争も戦後処理失敗で戦利効果がなく、戦費で財政的な被害を被っているから、今後は威信をかけてALCAに取り組むことになるだろう。
                                    








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