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アマゾンに建設されたツクルイダム 産業開発青年隊の荒木昭次郎さんが書かれたダムシリーズ(3)
産業開発青年隊第9期生のダム一筋に生きて来られた荒木昭次郎さんのダムシリーズの第3弾目を送って頂きました。完成すると世界第4位の発電量を誇るダムとなるツクルイダムに付いての記述を送って呉れました。また世界に於ける発電容量の大きなダムは、興味ある資料です。
サルバドールの近郊カショエイラ市と近くにあるペドラ・ド・カバーロと言うダムに付いての記述も画像掲示板1515番目に写真と共に掲載されています。荒木さんのように好きなダム一筋のお仕事に従事して来られた方は、少ないと思います。羨ましい生き方を貫かれた数少ない移住者人生ではなかったかと思います。
写真は、荒木さんから送って頂いたツクルイダム建設現場のものです。


アマゾンに建設されたツクルイダム
ブラジルの首都ブラジリア近郊を水源とするトカンチンス河は2400km北上して赤道直下の町ベレンで河口をアマゾン河と一緒に大西洋に接する大河です。ベレンの上流400kmに建設されたこのツクルイダム発電所は12基のタービンで4250MWの発電をしていますが、新たに左岸側に11基(最初の設計では12基の予定でしたが性能を良くして11基のタービンで同じ出力を持つ)の発電所を建設中で合計8370MWに出力を倍増する第二期工事が2000年から始まりました。私はカマルゴ社との契約で1年程ですが毎月マラバ経由かベレン回りでベロ・オリゾンテ市から通いました。ダムの規模としてはイタイプより一廻り大きく、ダムの堤長が9,2kmで高さ74mを直径11,4m(イタイプは10,5m)の導水管23(12+11)本が約40度の傾斜で流れ落ちタービンを回し発電します。23のタービンと導水管の太さはイタイプを越しますが落差が半分ぐらいなので発電量が落ちます(イタイプの発電量は12,600MWでしたが2基の追加工事で最終14,000MWの出力になりました)。
このツクルイダムは先日第二期工事の第一段階として4基が運転を開始しました。これはTVで放映されましたがルーラ大統領の出席で行れました。最終タービンの発電は2006年の予定です。
特に変わった工法としては取水口の下部のコンクリートにRCD(ローラー・コンパクト・コンクリート・ダム)工法を取り入れた事です。この工法は70年代に日本で開発されたセメント使用量を半分にして、水もほんの少しだけにしてローラーで転圧しながら打ち上げて行く工法で、主に堰堤に使用されていますが、此処では巨大な構造物(取水口)の下部に利用されています。ただ設計と施工を規定どうり行わないと大変な事故になります。今年の半ば頃でしたがこのRCD方式(ブラジルではCCRと呼ばれている)で造った貯水用ダムが一つ決壊して、下流の町を一のみにする大惨事が起こりました。これは責任者が問われる大問題でその後どうなったか知りませんが、政治家がらみの工事は例によって結果がうやむやになる公算が大です。      
またこの河は昔からベレン・マラバ間を船舶で鉱物、農産、畜産それに木材な
どを運搬していたので、やはり運送費が安く付く船舶運行をするべく現在ダムを横切る大きな運河(約6km)も建設中です。
アマゾン地方にはもう1ヵ所大ダムの計画があります。2003年から工事が始ま
る予定でしたが、やはり色々な問題がありまだ開始されていないようです。アマゾン河支流のシングー河に計画され、最初はカララオダムと言う名で調査が始まりましたが、百ヶ所位のインジオ部落が水没するのと、環境破壊が多過ぎてとても環境庁その他からの許可は見込めそうもないとの事で、ダムの位置と水位を変えてベロモンテと名ずけて11000MWの発電をする計画です。やはり世界一の森林の宝庫アマゾン地帯は各国から注目されており種々の間接的な圧力があると思います。もし完成したらイタイプに次いで世界第3位の発電量を誇る大ダムになりますが、幻のダムとなるかもしれません。

日本ダム協会の世界のダム発電量順位を添付致します。

世界の発電容量の大きなダム

順位 発電容量(MW) ダム名 国 タイプ
1 18200 Sanxia[三峡ダム、Three Gorges ] 未完成 中国 重力式コンクリート
2 12600 Itaipu  ブラジル・パラグアイ 重力式コンクリート/バットレス/フィル
3 10000 Guri  ベネズエラ 重力式コンクリート/ロックフィル/アース
4 8370 Tucurui  ブラジル アース/ロックフィル
5 6400 Sayano-Shushenskaya  ロシア 重力式アーチ
6 6000 Krasnoyarsk  ロシア 重力式コンクリート
7 4500 Bratsk  ロシア 重力式コンクリート
8 4200 Longtan 未完成 中国 重力式コンクリート
8 4200 Xiaowan(Yunnan) 未完成 中国 アーチ
10 3840 Ust-Ilim  ロシア 重力式コンクリート
11 3444 Ilha Solteira  ブラジル 重力式コンクリート/アース
12 3300 Ertan  中国 アーチ
13 3100 Yacyreta  パラグアイ・アルゼンチン 重力式コンクリート/アース
14 3000 Xingo  ブラジル ロックフィル

【注】
データは、「WORLD REGISTER OF DAMS 2003」を基礎として、「Water Power & Dam Construction Yearbook 2003」、雑誌の記事、ネット上の情報などを元に修正・補充して作成したものですが、資料によって情報内容が異なることがしばしばあり、正確性には限界があります。なお、ダムタイプについては、日本の型式分類の概念と必ずしも一致しない点があり得ますので、注意が必要です。


荒木 昭次郎さんからの書き込みと写真です。

早稲田大学海外移住研究会のサルバドール旅行で、黒瀬さんの書かれた文を拝見しまして吃驚しました。と言うのは、あのカショエイラの町のすぐそばにダムがあって、去年から今年にかけて1年間その発電所工事に行ったり来たりしていました。カショエイラ市からパラグァス川の鉄橋を渡ったらサン・へーリックス市になり右に折れ川上に沿って町のはずれにBR101(国道101号線)の橋梁があってそのすぐ向こうにペドラ・ド・カバーロと言うダムがあります。
このカショエイラ市は歴史的に古い町で、黒瀬さんが書かれているように砂糖キビが盛んな時代にアフリカの奴隷を使って栄えた地方の一つで葉巻タバコでも一寸名が売れているそうです。
サルバドール寄りのサント・アマーロの町は世界でも名が知られている有名なブラジルのカエターノ・ベローゾ氏が生まれた町です。
日本に育った我々は寺社仏閣など静観な場所と建物に慣れているので、ブラジルの古い町並みとか建物にはあまりしっくりしないようです。もっとも維持費が高くつくのでそのままになっているらしいですが。
ここに出来たダムは確か1984年頃から工事が始まり、サルバドール市(110km)への給水と発電用に建設され、給水はBR324の道路沿いに太い鉄管で送水されていますが、発電所は2002年末から工事が始まり間もなく完成の予定です。私は工事が始まる
前の工事用仮設備(砕石場、コンクリート設備、事務所それに宿舎など)のレイアウトとか、またコンクリート工事の計画と特殊型枠の設計などを手掛けました。実際に現場に行ったのは5,6回で仕事は全部ベロ・オリゾンテの我が事務所で行い、一度
は家内と一緒に行き有名なリゾート、コスタ・ド・サウイッペに数日逗留し良い思い出になりました。
写真は道路からも良く見えるダムの余水吐けと発電所工事です。



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