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ブラジルで損せぬ法  連載 210/211 3月号/4月号  山 下 晃 明
3月号では、アルゼンチン、ヴェネズエラとの強調路線としてのキルチネル・ルーラ・チャーベス協定から始まりアルゼンチンの現状を分析しアルゼンチンが取らざるを得なかったモラトリアム、債務の75%の踏み倒しが起きたのか等のカラクリを説明して呉れています。
4月号では神戸高校時代に放送員として所謂現在のメディアの活動をしていただけにネットとメディアの融合を考えると言った話題で陰陽自然学の飯田亨先生の説で、「すべては2004年に始まり2008〜2009年の大変革に向かう。過去の国家体制、政治体制、経済システムやメディアが崩壊、エネルギー革命、教育や精神論革命などが、[5]型の人の一石で変わり始める。」との説を披露しています。
写真は、コルコバードのキリスト像の遠景です。



山下晃明のブラジルで損せぬ法(210)

『実業のブラジル』誌に好評連載中(2005年3月号)

キルチネル・ルーラ・チャーベスが協定
 3月3日アルゼンチンとブラジルとヴェネズエラの大統領が仲良く手を組んで、IMFに対し共同戦線宣言が大きく報道された。
 アルゼンチンはモラトリアムに一方的にケリを付ける対外債務交換の終了発浮フ後だが、アルゼンチンのように、食糧助ェ、輸入依存度の低い国で、南のサンタ・クルス州知事出身で国際感覚の乏しい大統領だから出来たことである。工業製品の輸出規模が比較にならぬほど大きいブラジルには到底採り得ぬ政策で、ブラジルは過去に、サルネイ政権時代にモラトリアムを宣言してその後どれほどマイナスになったかを理解しているので、ルーラは本気でチャベスやキルチネルと共同歩調を取る愚は冒さないの見方が大勢だ。
 しかしその後、ブラジル・アルゼンチン共にIMFの借金の決済期日到来分を優先的に決済していることは注目に値いする。IMFの借金を減らしてIMFの影響力を低め、IMF離れで米国の干渉を低めたいのが真のねらいのようである。

 なぜ債務が4倍にもなったか

 これはラテン気質特有の問題だが、時間との勝負に負けたのである。仮に戦闘中に司令官が敵弾に倒れたとしよう、直ちに副官が指揮を取るだろう、ところがアルゼンチンでは2001年12月21日にデラルア大統領が辞任してから、選挙管理政権となるドウハルデ大統領の2002年1月2日就任までの間に実に3人の臨時大統領が立ち2003年5月に現キルチネル大統領を選出するまで債務問題は根本的な対策無しに野放しにしたのである。1999年12月10日にメネムがペヲハ貨のドル化に失敗して辞職した時点より考えると6人目の大統領で3年半を無駄にしている。この間にどんどんペモェ下落したのである。
 問題はこの間IMFは為替に介入せず放置したのである。メネム大統領がペメEドル1:1で成功の見本とIMFに賞賛され、彼がペモフドル化を要望していた時点から、IMFにはすべてを見せ、協力を期待して丸投げしたのであろうが、この意味ではIMFは所詮アルゼンチンのメイン・バンクではなく単なる内部監査のきびしい融資元に過ぎ無かったのである。
 IMF援助を期待していたアルゼンチンやブラジル政府にとっては非常な落胆であり、今の時点で監査の厳しいIMF協定から逃がれようとする動きは無理からぬ話しでもある。

 なぜ75%の踏み倒しが起きたか

 これは皮肉なことに、債務問題の最終検討段階で「70%程度の帳消しが不可欠」と口をすべらしたIMFの戦略者の失敗だとする人もいる。しかしながらアルゼンチンの立場でみると、メネムが希望したペモフドル化を米国が「もし」受け入れていたら今も1:1、1999年1月にブラジルが「もし」切り下げをしないで入超を続けてくれていたら今も1:1で世界の模範国、それまでまがりなりにも1:1で経済は動いていたのだから、歪を調整しても1:1.3〜1.5程度で収まった筈である。
 したがって100の外貨建て借金が130〜150になるのは、仕方ないが、390にもなったのは自分らの責任ではない。130は390の33%、150は390の38%であるから借金の62%〜67%はアルゼンチン人にとっては晴天の霹靂と考えることもできる。
アルゼンチンはトリック的な手法で債務を削減したから、国際的な信用をなくし、これから長く今回の踏み倒しの悪影響に苦しむ筈である。確かに借りた金は返すのが道理であるが、借りた方にしてみれば100万ドルの借金が、突然自分の所為でなく390万ドルになったのでは返せないとする見方もあるのである。
 
 ウラ側からの見方

これからアルゼンチンに投資する人にはこれは見せたくないが、中南米の為替ショックには共通点がある。緊急事態のとき、最初に打つ手が遅れて、どうにもならないところまで悪化する。つぎに多くの政治家や各界の大物が介入し自分の財産を保全する。大きな為替ショックがあると、大儲けをする人が必ずでる。政府お抱えの大新聞社は固定相場の時代に大負債を抱えていたが、切り下げで現地通貨建て債務が1/4になった。
 預金を凍結したが、預金凍結前に、経済大臣や経済省と関係が深い組織、外資系保険会社や進出企業は、国外に莫大な資金逃避をしたことは想像できる。凍結後も抜け道はあり、外国へ逃がした資金は多大、アルゼンチン政府が取った「個人投資家への国債のカットと新国債への切り替え措置」への処理は、極めて不公平となっている。銀行家、証券会社マン、経済学者、政治学者、政治家、官僚、企業家など業種により違いの段差大で、投資家等、特にイタリヤ人の怒りは、アルゼンチン国政府のみでなくこれを仲介した自国の銀行、証券会社などに向いている。
 現キルチネル大統領も知事時代に、州の金を5億ドル以上、スイスに預金した。大統領選挙時に、これがマスコミに発覚したが、
「ペモフ切り下げを見越して先見性の勝利だ。州の金を保護した」と声を大にして当選した。
2001年末の混乱、ラジカル政権の失脚とペロン党の政権奪取後、「デファルト宣言」や「貸した方が悪い」の発言に拍手喝采する国会議員の風潮、これらはラテン系の特徴でもある。

 現段階のアルゼンチンを冷静に見ると

 アルゼンチンへの個人の投資は敬遠されるであろうが、企業や国際ファンドは、今回の措置に関係なく、投資をすることになろう。また前回ペメEショックで損害を受けていない中国などはこの市場に投資するに違いない。アルゼンチンの食料や資源を求めてくる国、中国、欧州、東南アジア諸国などがあるし、国際政治の不安定は、資源国アルゼンチンを有利にする方向にあるから、今後国際金融界がアルゼンチンを排除することは無い。
こと製造で考える限りアルゼンチンはブラジルより条件が良い。まずブラジル・コストが無いからである。アルゼンチン・コストはあるだろうが、少なくとも税制はもっとシンプルで、PISもCofinsもない、労働法はもっと柔軟性がある、港湾施設に余裕があり、その積み込み料はブラジルよりはるかに安い。
 対外債務問題に一応の目処が付いて、TOYOTAやFIATやVWなど自動車メーカーは増産再開を検討中だ。

 アルゼンチンから対ブラジル輸出

2004年ベースでブラジルとアルゼンチン貿易は輸出73.7億ドル、輸入55.7億ドルで18億ドルの出超ベースであるが、その内訳は1位自動車、2位セルラーで、3位デイーゼル車、4位自動車シャーシーと自動車関連が主になっている。一方対ドルベースで為替はブラジル2.71レアイス アルゼンチン2.92ペメ@  と通貨が同水準であるから、1999年以前に実証されたごとく、アルゼンチンからブラジルへの輸出は工業復活で今後急増する。
 アルゼンチンからの輸出品の1位は小麦、2位は原油であるが、すでに昨年度のアルゼンチン・ワインの対ブラジル輸出は倍増になって、ブラジルのレストランを占拠している。

 日本勢よ出遅れめさるな

日本の個人投資家や小機関投資家、地方自治体や非営利法人などは国債の損害の恨みと、こういった強引な処理を行った政府のアルゼンチンへの不信は、今後長く残るだろう。
日本人は潔癖感の人が多いから、「借りた金は返却せねばならない」と言うが、途上国の多くの赤字問題が天文学的数字になってしまうと一番簡単に解決するのは、「帳消し」と「援助」と「忍耐」かも知れないのである。
もちろん、また出資してまた擦ってしまうのでは狽ェないが、相手政府とは別に、アルゼンチンの良いところに投資すべきである。
 アルゼンチン経済は復活基調にあり、2004年は対前年比GDPの9%の成長とのことだし、国際リスク指数も一桁下がる奄ェある。

 一早くトヨタの対アルゼンチン戦略
 
 2月25日読売新聞などによると、トヨタ自動車は28日からアルゼンチンで自動車の部品調達から生産・輸出まで一環して現地工場で行う世界戦略車「IMV」を2億ドル投資して生産開始し、新型ピックアップHILUXを年間6万台生産し75%を中南米に輸出すると発普B28日の生産開始式にはキルチネル大統領も来賓として出席した。
一方3月9日各紙によると、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州、ポルトアレグレ市グアイーバ地区でトヨタ物流センターのオープン・セレモニーを行った。
トヨタメルコスールの岡部社長、リゴット州知事、長島総領事等が鏡割りと升酒で乾杯した。同センター場所はオリビオ・ヅットラ前州知事がFORD自動車進出を締め出しバイヤ州のカマサリに工場を持って行かれそのままになっていたグアイバーの整地済み空き地960ヘクタールの内25ヘクタールで、アルゼンチンで増産を開始の新モデルのHILUXをブラシルに持ち込む物流センターとなる。トヨタは、既にブラジルとアルゼンチンの生産工場に1997年以後に8億ドルの投資を行っており、世界第2位のトヨタが来てくれたことにより州経済発展の30年の遅れを取り戻すと新工場建設に大きな期待を寄せられている。



山下晃明のブラジルで損せぬ法(211)
『実業のブラジル』誌に好評連載中(2005年4月号)
ネットとメディアの融合を考える
 メディア激変の先駆けとなったのがニッポン放送の株を買収した32歳のライブドアの堀江社長、未だ状況は極めて流動的だが、うまくいくと間接的に民放テレビNO.1のフジテレビも配下に取り込むかもしれない。ここで思い出すのは陰陽自然学の飯田亨先生の説で、「すべては2004年に始まり2008〜2009年の大変革に向かう。過去の国家体制、政治体制、経済システムやメディアが崩壊、エネルギー革命、教育や精神論革命などが、[5]型の人の一石で変わり始める。」
 堀江社長はもちろん[5]型だが、それほどメディアに執着していたとは思えない。ある雑誌のインタービューで、彼は「メディアは必ネットに統合されるから、自分で買収して自分の手で終わらせたい」と答えているのである。そこで飯田先生に聞いてみた。
 
著者「メデイアに[5]型の一石が投じられましたね」

飯田「彼の役割はメディア激変の先駆けにすぎない、忘れてはならないのは[5]型の改革には過去の[6]型の事象、法律、規則、警察などが崩壊衰退する動きが連動する。例えば版権や契約などが無力になることを知っておくと、今の変化が読めるようになる。この4月は[5]型の月ゆえに何らかのインパクトがあるはずだ。」

著者「メディア側は著作権問題があり版権支払いが大変煩雑、著作版権の徴収が困難でありネットの思うようには経営できないからネットのメディア参入は無理だと言っていますね。」

飯田「著作権そのものが破壊されればこの議論は無意味になる。現行の法律規則が崩壊されるのが現在の時代の変化である。デジタルの作品は一国で管理してみても世界中からインターネットで送信されてくる時代には意味がなくなる。」

 確かに一時、音楽CDの個人COPY交換サービスが流行して話題となったが、発信元は国内とは限らないので、現行の法律で取り締まるのは極めて難しい。ライブドアにとってニッポン放送の所有する音楽の版権など本当に必要としたであろうか。その曲を供給する配信業者をみつけて契約するだけで良いからである。ライブドアはニッポン放送を傘下にしたら比較的安価にフジテレビが買えるからアタックしてみたに過ぎないかも知れない。其の証拠に融合の暁には具体的に何をするのか堀江社長は中々楓セしない。おそらく彼も走りながら思案しているのではなかろうか。またニッポン放送の株を50%も買うはめになってしまい、大手株主3者で89%になり上場廃止の恐れもでてきてしまった。同氏はライブドア社を頂点として、一大グループを作りたいようだが放送、新聞、不動産、音楽、出版、流通、金融、銀行、株式などとポータルサイトの融合となると業種特定不可狽ニなり国税庁や特許庁泣かせの姿になりそうだ。
 一方、財界政界は一斉に企業乗っ取り防御体制に入った。まず政府は外国企業が日本企業への出資を通じて放送会社を間接支配できないように「外資規制」を強化する。電波法で外国企業の放送会社への直接出資は20%以下の義務があるが、改正案で直接出資分に、新たに日本企業を通じた外資による間接出資分を加えた合計も20%未満になるように見直すという。ライブドアに刺激されて動き始めたメディアとネット:日本テレビがャjーのネット配信子会社と資本提携した。メディア系ホ−ムページが一斉にネットの特徴を生かす手直しを始めた。敵対的買収を防ぐための小技として、テレビ東京が、防衛策として、取締役の改選時期をずらし、買収者が一度に全取締役を送り込めないようにする「期差選任」の導入を検討している。

 ネットと従来メディアそれぞれの特徴は

 ネット:新聞を購読していない層も、電波の届かない場所に住む人も記事や放送の討論に参入できる。ニュースは発生の都度刻々入り、世界中どこからでも時間自由、膨大な量の検閲なしのメッセージが送受信可狽ナ番組がないから何時でも見れるのが特徴。ただし見る情報は自分で選ばねばならぬ。又クリック一つであらゆるデータ源や関連サイトに飛ぶことができる。欠点としては情報が清濁入り混じって大量に入るので選択がむつかしい。また現状は特定商品にしぼった宣伝力がちょっと弱い。逆にネットで特定商品の大量即販できる手法を発見したら、宣伝スポンサーのメディア離れが起きるだろう。
 ラジオ:聴覚からの情報と知識、音楽などの番組供給、つけっぱなしで思わぬ情報を得られるのが特徴。突発事件の実況放送に強み、情報は編集者によって翌゚整理されている。広告時間でスポンサーの重点思想が読める。
 テレビ:視聴覚からの情報と知識、教育、娯楽やドラマ、映画、音楽、スポーツ、勝負事などの番組供給、特に実況放送に強い、つけっぱなしで突発事件や思わぬ番組に出会うことがあるのが特徴。情報は翌゚編集者によって整理されている。広告時間帯や量でスポンサーの重点思想が見える。
 新聞:今日の主な出来事を一覧で知る。但し編集者の段組や見出しに優先順位に思想が入る。コラムなど思想や小論文記事向き、切り抜き、持ち歩きが可煤A読む時間に制約がないこと、多忙のときは斜め読みが可狽ネことが特徴。紙面サイズなどで今日の広告のスポンサーの意図が読める。

 「ネット」と「メディア」を融合すると

*検閲なしに「掲示板」などで、メディアが選んだテーマと膨大な量の読者や視聴者のナマの反応が平行して見れる。
*一目で本日の、メディアの編集者の選んだ重要事件を知ると同時に刻々入るナマのニュースを平行して見れる。
*新聞は朝刊、夕刊締め切り後に入ったニュースが見れる。
*放映されたインタービューと別にカットなしのインタービューの映像も見れるし、ニュースやコラムを繰り返しまた何時でも見れる。
*記事関連データ、必要に応じていつでもデータや関連サイト、解説、辞書が引き出せるしメールに発信もできる。又記事の切り抜き、デジタル・データ化が簡単にできる。
*買いたい商品が宣伝されたときは「注文」ボタンで即発注や即送金はもちろん、放送直後に競合との価格比較や、すでに買った消費者の反応を「掲示板」などで確かめられる。
*インターネットのブログやテレビ局を複数同時に付けっぱなしもできるマルチ・デイスプレイで、「情報」ボタンなどが当たり前になるだろう。

 個人のデジタル機器が「オール・イン・ ワン」

 ハードの方もメディア改革に協力している。個人が持ち歩くデジタル機器が「オール・イン・ 1」になりつつある。メール、小説、テレビ、新聞、シネマを一つのターミナルで見るのは当たり前になるだろう。日経新聞によると、携帯電話は通信速度が従来の10倍以上で大容量の第三世代機の加入者が年末にも半数を超える。プレーヤーの方は米アップルの「iPod」など大容量記録型の販売台数が今年、MD(ミニディスク)を抜くのが確実。手のひらPCやCDプレヤーやゲーム専用機を駆逐、デジタル携帯機器は小型・軽量化に大容量化やインターネット対応も重なって世代交代が加速、低価格化も進んでいる。早ければ年末に逆転する見通しとのこと。通信の速度と映像圧縮の技術が今後一層進むと、現在の業種や機器の分野区分はまったく意味がなくなり、統合されてしまったあとはまったく新しい区分け思想の機器になるだろう。

 映像のデジタル化

 4月4日ャjーやデイズニーが30億ドルかけて映画館をデジタル化すると発浮オたが大容量映像が高速に伝送されるようになると、シネマ、テレビ、ビデオ、カメラ、ネット、携帯の映像の統合が起きる。オーデイオ・ビジュアルのホーム・シアターというのがある。今はビデオかDVD再生が主だが、シネマ、ビデオ、DVD、ゲーム、音楽、テレビ、ネットの統合を目指している。
 この変化が革命的なのはオリジナル映画フイルム?が其の国内になくても映画館への世界配信が可狽ノなることで。現在の版権など無意味、著作権が過去の遺物になることだろう。 シネマの動画が簡単に伝送できる時代になれば当然静止画にも一大影響を与える。新聞など静止画像は動画にくらべると技術的に至って簡単に送信できるからである。新聞もデジタル映像化するだろう。そのとき紙に印刷して読む人はよほど変人で、紙の新聞を読まなくても、壁か天井に映写して寝転んで読む方が楽であるし、何かのテーマでネットに飛んで更に詳細な情報源をさがしたり、新聞の中でビデオカット映像を見たり、専門家の解説を探したり、切り抜き記録したり、メールに飛んだり、掲示板に自分の感想を書き込んだりができるのが当たり前になるのである。そのすべてはデジタル信号の高スピードと低コストが要求されるのであるがまずは映像から始まることであろう。



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