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沢田 啓明さんのサッカーコラム復活!!(10)
沢田 啓明さんにはブラジルサイトのメインコラムの内の一つサッカー欄に定期的にサッカーコラムを書いておられブラジルサイトの了解を取って沢田さんのご好意で『私たちの40年!!』MLに流して呉れており、それを纏めてサッカーコラム欄としてこの寄稿集にも掲載させて頂いております。今回で(10)目になりますが、1回7回前後が掲載されており既に70回程になるのではないかと思います。毎回、プロの目で見た試合観戦の解説は、贔屓の引き倒し的なサポーターとしての観戦しか出来ない私には大いに役立つし感心させられています。一度沢田さんと一緒に同じ目線で試合を観戦してみたいと思います。
我INTERNACIONALは、本日現在勝ち点25で2位、来年度のリベルタドール杯に参加する権利は確保しそうです。4回目のブラジル1を目指して頑張って貰いたいです。
写真は、今年度のリベルタドール杯を獲得したサンパウロ・フッテボール・クルビの勝利の写真をFOLHA紙のWEB版からお借りしました。


<「世界サッカー史上最強チームでワールドカップ優勝」を目指せ!> 7月1日掲載分
 6月28日から29日にかけて、ブラジルとアルゼンチンがサッカーで3回対戦した(ただし、最後の1回はクラブどうしの対戦だったが)。
 世界で最もライバル意識が強いであろう南米の2超大国が、これほどの短い期間にこんなに頻繁に対戦するのは珍しい。「3連戦でどちらが勝ち越すか」が両国で注目を集めた。
 まず、28日の世界ユース選手権準決勝ではU−20アルゼンチン代浮ェロスタイムの決勝ゴールで勝った。しかし、29日のコンフェデ杯決勝ではブラジル代浮ェ4対1で圧勝。そして、同日、ブエノスアイレスで行なわれたリベルタドーレス杯準決勝第2レグのサンパウロ(ブラジル)対リバープレート(アルゼンチン)はサンパウロが3対2で勝ち、12年ぶりに決勝に駒を進めた。
 つまり、この3連戦はブラジルが2勝1敗で勝ち越したというわけだ。
 それにしても、コンフェデ杯決勝のブラジルはすごかった。ロナウジーニョ、アドリアーノ、カカ、ロビーニョの「クアルテット・マジコ」(魔法のカルテット)がアルゼンチン守備陣をズタズタに切り裂いた。
 前半11分、ゴール前右側でボールを受けたアドリアーノが中央に回り込みながら相手DFのタックルを外すと、ゴール左上隅に弾丸シュートを決めた。さらに、前半16分、ロビーニョからのパスをゴール前正面で受けたカカがDF3人に囲まれながらゴール右上隅に技ありのシュートだ。
 6月8日にブエノスアイレスで行なわれたワールドカップ南米卵Iでは17分でアルゼンチンが2点を取ったのだが、そのお返しをした格好だった。
  その後も、ブラジルの攻勢が続く。後半2分、右サイドを突破したシシーニョからのクロスをロナウジーニョが中央で合わせる。さらに後半18分、右サイドからのクロスをアドリアーノが頭で叩き込んで4点目。その2分後、アルゼンチンも右からのクロスを途中出場のMFアイマールが頭で決めて1点を返したが、反撃はそこまで。ブラジルがヨーロッパの真ん中で宿敵アルゼンチンに赤っ恥をかかせた。
 ただ、このスコアを両国の実力差と考えてはならない。3週間前に3対1でブラジルを屠ったばかりのアルゼンチンが、急に弱くなったはずはない。
 準決勝でブラジルが90分でドイツを料理し、決勝まで3日休めたのに対し、アルゼンチンは延長、PK戦の末にやっとの思いでメキシコを下し、しかも決勝までの間隔がブラジルより1日短かったのが響いて、スペースを与えない激しい守備ができなかった。そして、守備がゆるいアルゼンチンなど本当のアルゼンチンではない。
 一方、ブラジルにしても、コンフェデ杯で優勝したからといって1年後のワールドカップでも優勝できるという保証はどこにもない。むしろ、早く仕上がりすぎたのではないかとちょっと心配になる。
 ともあれ、ブラジルが来年のワールドカップの優勝候補最右翼にあげられることはまちがいないだろう。そして、ブラジル国民は、セレャ唐ェワールドカップで優勝することを「目標」ではなく「義務」と考え始めている。
 ブラジルには、単にワールドカップで優勝することを目指すのではなくて、「世界サッカー史上の最強チームを作って圧勝すること」を狙ってほしい。単に優勝を狙えるチームなら、もうとうの昔にできているのだから。
(ブラジルサイト  www.brazil.ne.jp/ より)">http://www.brazil.ne.jp/ より)

<7万人の絶叫!リベルタドーレス杯決勝> 7月16日掲載分
 南米最強クラブを決めるリベルタドーレス杯の決勝第2レグが7月14日、サンパウロのモルンビー・スタジアムで行なわれた。7月6日に行なわれた第1レグが1対1の引き分けだったから、この日の試合で勝った方がチャンピオンだ。
 スタジアムは、試合が始まる2時間ほども前から7万人を超える観衆で超満員。そのほとんどが地元サンパウロFCのサポーターで、クラブの歌を合唱し、「トリコロール」(サンパウロFCはクラブカラーが白、赤、黒の3色なのでこう呼ばれる)のコールを繰り返す。
 観衆全員が立ち上がって注視するなか、試合が始まった。
 試合の序盤はほぼ互角。サンパウロFCが例によって両サイドから攻めるが、アトレチコも激しい守備で対抗し、カウンターでチャンスをうかがう。
 ところが、意外に早く均衡が破れた。前半16分、ゴール前中央でボールを受けたサンパウロFCのMFダニーロが右前方に走り込むFWルイゾンにパスを送り、ルイゾンからのヒールでのバックパスを受けると右足でシュート。これがアトレチコGKに当たって跳ね返ったところをダニーロが左に浮き球で流し、これをFWアモローゾが頭で押し込んでサンパウロFCが先制した。
 ボールがゴールに飛び込んだ瞬間、スタンドは爆発したような大歓声。狂喜乱舞が繰り広げられた。
 リードされたアトレチコは全般に前掛かりになる。そして、前半のロスタイムにアトレチコのFWアロイジオがペナルティ・エリアに進入するところをサンパウロFCのDFに抱き付かれて倒れ、主審はアトレチコにPKを与える。ところが、MFファブリシオがPKを失敗してしまい、アトレチコは絶好の得点機を逃した。
 後半に入ってからは一進一退が続くが、後半7分、サンパウロFCが右CKをDFファボンがヘディング・シュート。これがゴール右上隅に飛び込んで貴重な追加点をあげた。
 そして後半25分、FWアモローゾが右サイドを突破して逆サイドにグランダーのパスを送り、これをルイゾンが右足で押し込んで3点目。さらに、後半43分にもFWジエゴ・タルデリが得点してダメを押した。
 サンパウロFCは、1990年代前半に名将テレ・サンターナの指導によって黄金時代を作り、MFライー、右サイドバック・カフー(現ミラン)、FWミューレル(その後柏レイャ汲ナプレー)、MFトニーニョ・セレーゾ(現鹿島アントラーズ監督)、MFレオナルド(その後鹿島アントラーズでプレー)らを擁して1992年と1993年にリベルタドーレス杯で2年連続優勝している。従って、これが12年ぶり3回目の優勝。優勝3回はブラジルのクラブとしては最多記録だ。
 この優勝により、サンパウロFCは12月11日から18日まで東京と横浜で行なわれる世界クラブ選手権に南米代浮ニして出場する。
 ウルグアイ代浮フルガーノを中心とする堅固な3バックで守り、小柄なジョズエとミネイロがボランチとして攻守に大車輪の働きを見せ、スピード豊かなジュニオールとシシーニョが両サイドをえぐる。また、GKロジェリオ・セニは「ゴレイロ・アルチリェイロ」(GK兼ストストライカー)で、GKとしてもFKキッカーとしても超一流だ。
 日本のサッカーファンには大いに楽しみにしていてもらいたい。
(ブラジルサイト  www.brazil.ne.jp/ より)">http://www.brazil.ne.jp/ より)

<サッカーに対する冒涜> 7月26日掲載分
 仕事と里帰りを兼ねて、7月22日から日本に一時帰国している。
 さっそく7月24日に嵐閧ウれていたJリーグの千葉対川崎Fの試合を見に行くつもりだったのだが、東京から千葉方面に移動する直前に何と震度5強の地震が発生。このため東京近辺のJRと地下鉄の全線が不通となり、観戦を断念せざるをえなかった。
 7月25日に味の素スタジアムで行なわれた東京ヴェルディ対レアル・マドリーの試合をようやく観戦したのだが、これがまあ、何ともひどい試合だった。
 レアル・マドリーはジダン、ロナウド、ラウル、ロベルト・カルロス、ベッカムといった主力が先発し、メンバーの顔ぶれだけ見れば豪華極まりない。一方の東京ヴェルディはJリーグのビリから2番目で、直近の6試合で26失点と守備が崩壊中のチーム。レアル・マドリーの大勝を卵zする向きが多かった。
 ところが、試合の展開は全くそうはならなかった。
 前半6分、ヴェルディの中盤からのパスがレアルDFに当たってコースが変ったところをMF小林大悟が押し込んでヴェルディが先制。さらに前半26分、やはり中盤からのスルーパスをFWワシントンが右足で蹴り込む。
後半に入ってからようやくレアルが攻撃する姿勢を見せたが、いかんせん、運動量が極端に少なくてひとつひとつのプレーの精度も低い。ヴェルディは後半8分にも右からのCKをMF山田が頭できれいに流し込み、3対0でレアルを破った。
 ヴェルディの快勝、と言いたいところだが、レアルがひどすぎた。全くやる気がなくて、見ていて眠くなるような試合。実際に、時差ぼけがまだ直っていなかった僕は気が付いたら寝込んでいた。
 一番高い席が9千円、一番安い席でも6千円という高額の入場料には全く見合わないお粗末な内容。観衆が「金を返せ!」と叫ぶべき典型のような試合で、これが南米だったらファンが魔黷ト大変だっただろう。しかし、礼儀正しく寛容な日本のファンからはブーイングひとつ起こらなかった。
 試合後、ミックスルームでスペイン人ジャーナリストと話していたら、「レアルにとっての今日の試合の位置付けは、プレシーズン・マッチではなくてプレシーズンのその前の試合なんだ」と言う。「プレシーズン・マッチ」というのは来たるシーズンに対する準備のための試合のことなのだが、レアルがプレシーズンのキャンプに入るのは8月3日であり、現在はプレシーズン・マッチを行なう以前の段階にすぎないというのだ。
 簡単に言えば、この試合は金儲けだけを目的として組まれた純然たる興行にすぎないということである。
 こういう試合を数千円のお金を取って見せるというのは、ほとんど詐牛s為ではないか。こんな試合を組むこと自体がまちがっていると思うし、そんな試合を見せられて無邪気に拍手を送る日本のファンの人の良さにも少々呆れた。
 チャリティーゲームであればまだしも、興行としてこんな試合を組むことは、サッカーというスポーツに対する冒涜だろう。
 レアル・マドリーは7月29日にジュビロ磐田と対戦して日本での日程を終える。ジュビロにはせめて、レアル・マドリーをボコボコにして大恥をかかせてやってほしい。

<アレグリアに満ちたサッカーを>  8月18日掲載分
 僕がブラジルでサッカーを見始めて非常に驚き、かつ嬉しく思ったのは、「ブラジルのサッカーにはアレグリア(喜び)に満ちている」ということだった。
 サポーターは、相手をおちょくっているような股抜きやシャペウ(敵の頭越しにボールを浮かせてかわすこと)に歓声を上げ、笑う。美しいゴールに狂喜する。ひいきチームが大量得点をあげると、サンバの名曲を大合唱してお祭り騒ぎになる。つまり、ブラジルのサポーターはサッカーにはチームの勝利以外にもいろいろな喜びがあることを知っており、それを求めてスタジアムに足を運ぶ。選手もそのことがわかっているから、サポーターの期待を裏切らないようにプレーする。
 しかし、日本のサッカーには相変わらず「アレグリア」がない。日本のサポーターは、不幸にしてサッカーの「アレグリア」を知らない。そう感じたのが、8月17日に横浜の日産スタジアムで行なわれたワールドカップ・アジア最終卵Iの最終戦である日本対イランの試合だった。
 日本もイランも欧州でプレーする選手が召集されていないから、ほぼ同程度のハンディを負ったなかでの対戦。しかし、すでにワールドカップ出場権を獲得しているとはいえ卵Iの最終戦であり、特にホームの日本はよいプレーをして勝つ義務がある。また、来年のワールドカップ出場を狙う選手たちにとっては貴重なアピールの場だ。気を抜いている場合では断じてない。
 立ち上がりは日本が押し込み、大黒が相手守備陣のウラに抜けてチャンスを作ったりクロスを思い切りよくシュートを放ったりして何度かチャンスを作るが、大黒やアレックスのシュートがGKに阻まれたりゴールの枠を外れて得点できない。一方のイランは、全くと言っていいくらい攻撃の組み立てができない。セットプレーからエース・ダエイの頭を狙うというのが唯一の攻撃パターンで、単純なパスミスが多さは目を覆うばかりだった。
 前半28分、日本は玉田が左サイドから低いクロスを入れ、ゴール前で大黒が相手GK、DFと競り合ってつぶれたところを逆サイドから走り込んできた右MF加地が押し込んで先制した。
 日本はその後も決定機を作り続け、本来なら前半だけで2点か3点は取っておくべき展開だったが、結局、1対0のまま前半が終了した。
 後半はイランが前がかりになり、日本はカウンター狙い。現代サッカーでは一番点が入りやすい形だが、たまに大黒がウラに飛び出すもののシュートが甘く、追加点を奪えない。イランの攻撃が単調で日本のカウンターも鈍いため、試合のペースが徐々に落ちる。まるで親善マッチのような気だるさが漂い始め、正直言って僕は眠気を覚えた。
 それでも、後半31分、日本は左CKを大黒が頭で決めた。ところが、その直後、イランに左サイドからフリーでクロスを入れさせてしまい、中澤がダエイを倒してPK。これをダエイが決めて1点差としたが、イランの反撃もここまでだった。
 イランに勝ってグループ首位で卵Iを突破したという結果は素晴らしい。しかし、ほめていいのはその1点だけ。フリーでパスを出しているのに通らなかったり、トラップミスで相手にボールを渡してしまうといった単純なミスが双方に多く、この日の日本とイランは世界レベルにはほど遠いと思えた。
 イランのモチベーションが低いのは、日本の責任ではない。しかし、そうであれば容赦なく大量得点を奪い、さらにトリッキーなプレーでサポーターを喜ばせてやってしかるべき状況だった。それが、勝ったとはいえ僅差の試合になったというのは情けない。
 これでは、サポーターは勝利以外に喜べることが何もない。サッカーは、本当はもっと楽しいものなのだ。日本の選手は、いつになったらそのことを日本のサポーターに教えてあげられるのだろうか。

<チリに爆勝してワールドカップ出場を決定!> 9月6日掲載分
 8月30日にブラジルに戻ってきたのだが、すぐその翌日からリオデジャネイロ郊外でブジル代浮フ合宿を取材し、そのままブラジリアに移動して9月4日にブラジリアのマネ・ガリンシャ・スタジアムで行なわれたワールドカップ南米卵Iのブラジル対チリの試合を見てきた。
 ブラジルはMFロナウジーニョとDFロッケ・ジュニオールが累積警告で欠場し、代わりにロビーニョとフアンが先発した。
 ワールドカップの最近の2試合とコンフェデ杯に欠場したロナウドが復帰し、ブラジルの攻撃は中盤がカカとロビーニョでツートップがロナウドとアドリアーノ。MFとしてプレーするロビーニョが「攻撃の組み立てを担い、チャンスがあればトップに飛び出して得点を狙い、さらに守備面でも貢献すべし」というパレイラ監督の指示をどこまでこなせるか、そしてコンフェデ杯で得点王とMVPを獲得したアドリアーノ、昨年の10月以来代浮ナゴールをあげていないロナウドの出来が注目された。
 前半11分、ブラジルは左CKをDFフアンが頭で決めてあっさり先制する。そして前半21分、素晴らしいゴールが生まれた。中盤でボールを受けたロビーニョが右サイドを走るアドリアーノにパスを送り、アドリアーノがクロスを入れ、これをカカがダイレクトで折り返し、ロナウドがつないだボールをロビーニョがボレーで蹴り込んだ。
 攻撃のカルテット全員が参加した、個人迫ヘと組織力が高いレベルで結合して生まれた実に見事なゴールだった。
 このゴールはチリに大きなショックを与えたようで、チリ選手の動きが目に見えて緩慢になった。さらにその5分後、中盤でボールをキープするロビーニョから左サイドのアドリアーノに柔らかいパスが渡り、アドリアーノが相手DFを振り切るとゴール右下隅に決めて3点目。さらにその2分後にも右CKをアドリアーノが頭で叩き込んだ。
 わずか28分間で4点。ブラジルがチリを完膚なきまでに叩きのめした格好だった。
 前半はそのまま終了。左太ももに違和感を訴えたロナウドが大事を取って交替し、MFリカルジーニョが中盤の左に入ってロビーニョが本来のポジションであるトップに上がった。
 後半、ブラジルはペースを落とすが、すでにノックアウト状態のチリには反撃する余力がない。ロスタイム、右サイドを突破したロビーニョからのパスを受けたアドリアーノが豪快なシュートを突き刺してハットトリックを達成し、ブラジルが5対0と圧勝して18大会連続のワールドカップ出場を決めた。
 チリもワールドカップ出場を賭けて必死だったのだが、ブラジルが破壊的攻撃力を見せつけた試合。アドリアーノとロビーニョも素晴らしかったが、ロッケ・ジュニオールの代わりに出場したDFフアンもほぼ完璧な出来だった。
 試合後のブラジルのメディアと国民の最大の疑問は、「ロナウジーニョが戻ってきたら、ロナウド、ロナウジーニョ、カカ、アドリアーノ、ロビーニョの5人のうち誰を外すのか」、そして「傑出した5人を同時に並べてはダメなのか」。これに対し、パレイラ監督は「中盤の守備を考えると、攻撃の選手を5人並べるのは無理」としており、一般にはロナウジーニョが復帰したらロビーニョがベンチを暖める可柏ォが高いと見られている。しかし、チリ戦でのロビーニョは素晴らしいプレーを連発して相手守備陣をキリキリ舞いさせていた。
 いずれ劣らぬ世界トップレベルの5人のうち、一体誰をベンチに置くのか。パレイラ監督は、何とも贅沢な悩みを抱えている。
(「ブラジル・サイト」 www.brazil.ne.jp/ より)">http://www.brazil.ne.jp/ より)

<才狽フ宝庫ブラジル>  9月18日掲載分
 ふだんブラジルにいて日常的にブラジル・サッカーを見ていると、ブラジル・サッカーが当たり前のように思えてくる。しかし、日本に一時帰国してJリーグや日本代浮フサッカーを見てからブラジルに戻ってくると、ブラジル・サッカーのことも改めて新鮮な目で見ることができる。
 8月30日にブラジルに戻ってきて以来、ブラジル全国選手権の試合をいくつか見た。ここまで見たなかで一番面白かったのが、9月7日にサンパウロのモルンビー・スタジアムで行なわれたサンパウロFC対コリンチャンスの試合だ。
 サンパウロFCは、DFルガーノ、ボランチのジョズエ、右サイドバックのシシーニョといった守備の中心選手を欠いたためか、立ち上がり、中盤の守備が甘い。コリンチャンスのゲームメーカー、ロジェールをフリーにしてしまい、前半2分、ロジェールからのパスを受けたFWニウマールがサンパウロFCの守備網を抜け出して先制する。
 その後もコリンチャンスが決定機を作ったが、前半の半ばあたりからようやくサンパウロFCの守備が安定し、攻撃にも鋭さが出てくる。前半29分、サンパウロFCはFWアモローゾが柔らかいドリブルで相手選手3人をスルスルと抜いて左足で強烈なシュートを叩き込み、同点とした。
 それからは両チームが交互に攻め合う好試合となったが、後半31分、サンパウロFCがFWジエゴ・タルデリからのスルーパス受けたMFャEザが相手GKの鼻先でシュートして勝ち越し。コリンチャンスも後半40分、左サイドのほとんど角度がないところからMFロジネイが逆サイドのネットに見事なシュートを決めて追いついた。そのまま引き分けかと思われたが、後半43分、サンパウロFCがMFャEザがペナルティ・エリア内で倒されて得たPKをFWアモローゾが決めて再び勝ち越し、そのまま逃げ切った。
 両チームとも守備が少々甘く、そこがまたブラジルらしいと言えるのだが、果敢な攻め合いは非常に見応えがあった。
 両チームの攻撃力を支えるのが、選手個々の高いテクニックと思い切りの良さだ。
 日本選手の身体迫ヘ、戦術迫ヘは、かつてに比べて格段に上がっている。それでも、ブラジル選手と日本選手の主として技術面、精神面における差はまだまだ大きいと言わざるをえない。
 折りしも、ブラジル代浮ナは「クアルテット・マジコ(魔法のカルテット)」か「キンテット・マジコ(魔法のキンテット)」かという論争がある。ロナウジーニョ、カカ、アドリアーノ、ロナウド、ロビーニョの5人のスーパー・アタッカーの全員を同時に起用するべきか、あるいは攻撃の選手は4人にして5人のうちの誰かをベンチに置くべきか、というものである。
 現在のところ、ブラジル国内では意見がほぼ真っ二つに分かれている。そして、この論争はおそらくワールドカップが始まるまで続くだろうし、ことによってはワールドカップ期間中も続いているかもしれない。
 歴代ブラジル代浮フ守備の脆さが肌身に染みている僕としては、攻撃の選手を5人も置くというのはやはり無理だと思う。実力に差がある相手ならアタッカーが5人でも6人でもかまわないだろうが、アルゼンチン、ドイツといった実力国相手であれば、そうでなくても不安がある守備の人数を減らすのは極めて危険に思えるのだ。
 で、もし4人とすれば、誰をベンチに置くべきか。いずれ劣らぬ傑出した選手ばかりであり、5人のうち最も調子が良い4人を先発させるべきだと思うが、仮に5人が揃って完調である場合、現状ではセレャ唐ナの実績が最も乏しいロビーニョをベンチに置いて、試合の途中から投入するべきだと思う。
 ともあれ、こういう論争が起こるのも、ブラジルが才狽フ宝庫であるからこそ。現在のブラジル代浮うらやましいと思わない監督は、世界中に一人もいないはずだ。
(「ブラジル・サイト」 www.brazil.ne.jp/ より)">http://www.brazil.ne.jp/ より)







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