早大海外移住研究会OBの富田真三さんの【小話】です。
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同窓のサンパウロに住んでおられる富田博義さんのお兄さん、真三さんがメキシコに長く住んでおられることは知っておりますが、まだお会いしたことがありません。最近、早大海外移住研究会の便りを載せるHPを主宰しておられる黒瀬さんから富田さんが書かれた面白い【小話】を送って頂きました。
ブラジルでも富田さんが挙げておられる多くの小話は何度も聞いておりネタは、同じところから出て傑作は方々に伝承、語り継がれているようですね。ブラジルの小話(PIADA)の主人公は、何と行ってもポルツゲース(ポルトガル人)のジョゼー、ジョアン、マヌエル、セバスチオン等が多く女性ではダントツでマリアです。次に多いのがジャポネス(日本人)ですがこれは私が話しの中にいる事から主人公をジャポネスに変えて聞かせるのかも知れませんが色々その場では笑いこげるのですが、思い出して語るとなると大事な落ちを忘れてしまっていたりで上手く伝えるには術がいるようでもっぱら聞き手に回っています。
写真もお願いしているのですが間に合わない事から数年前に行ったメキシコの郊外にある水郷サチミルコの船旅の時に撮ったものを使用して置きます。
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小話 by 富田真三
先日、ある宴席で幇間の小話と言うのか、漫談を聞いた。中々達者な芸で大変面白かった。驚いたのは、彼が語った話のうち二つがメキシコで聞いたことのあるものだった事だ。
挨拶に来てくれた幇間氏に聞いてみると、そのネタが外国ものとは知らなかったと、本人も驚いていた。どうやら、日本で言う小話、スペイン語のChistes, 英語のJokesにも国際的交流があるようで愉快だった。
しかし、これは海の向こうでは当たり前なことなのだ。と言うのは、私は同じネタが三ヶ国で自国人を主人公として語られている小話を知っているからだ。では早速ご披露しよう。
「天地創造のとき、神様がある地域に長く美しい海浜、肥沃な平野、温暖な気候、豊富な地下資源をお与えになっているのを見て、天使たちが口々に『神様、これはやり過ぎですよ』と意見をのべる。すると神様は『心配無用。そこにはメキシコ人を入れるから』と仰った。」
これはメキシコ人たちの大好きな小話の一つである。ところが、この小話はメキシコの専売特許ではなく、ブラジル、アルゼンチンでも自国民を主人公にして、語られているのだ。この三国人たちは「怠け者であることを自認し、人生は楽しむためにあり、必死に働いて金を貯めても、墓場にはもっていけないんだ。」と達観しているのだ。その上、神様が彼らをお心に掛けて下さっているのが嬉しいのだろう。
そう言う生き方の潤滑油になるのが、彼らが言うジョーク(小話)なのだ。日本の小話と違うところは、彼らは小話を聞くだけではなく、自ら家庭で、職場で、取引先で、居酒屋で面白おかしく新ネタを披露して、家族、恋人、友人、隣人たちを楽しませることだ。
小話の題材には、人生に関する全ての現象と、ローマ法王から乞食にいたる全ての階層
の男女が主人公となる。アジア、アフリカ諸国のことは知らないが、欧米やラテンアメリカでの小話は生活に溶け込んでいて、子供たちが小学校に入学すると、早や小話の洗礼を受ける。多分、兄姉が語る小話を受け売りをするのだろう。子供たちが語るのは無邪気な可愛いものばかりだから、他愛のないものだ。一方大人が喜ぶのはいわゆる艶笑小話である。と言っても、小話には芸術作品のような素晴しいのも存在する。そこで、今回は数ある小話の中から比較的上品な民族に関する小話を幾つか紹介してみたい。
「無人島に二人の英国男と絶世の美女がひとり流れついた。すると、英国人たちは紹介してくれる人がいないので、互いに口もきかない。したがって何事も起こらない。
では二人のイタリア男と絶世の美女のケースはどうなるか? 美女を争って二人のイタリア男たちは命を賭けて戦った末、生き残った男が美女を得た。
同じシチュエーションでフランス男の場合。一人は夫になり、もう一人は愛人となって、美女とよろしく過ごす。
同じシチュエーションで日本人の場合。二人共大慌てで東京本社にメールを送って上司の指示を仰ぐ。」
蛇足:この作者はなんと良く各国人の習性を観察していることか。本社の指示なしには何もしない我が同胞が微笑ましいではないか。
次はメールなど無かった時代の先輩の小話。
「何かことをなすとき、ドイツ人は最初に考え、考え終わったあと、走り出す。イタリア人は先ず走り出し、走り終わったあとで考える。日本人は走りながら考える。」
蛇足:これは日本人を褒めている小話だ。
ユダヤ人の小話。
蛇足:ユダヤ人は小話の世界では横綱級である。
「娘が金持ちの息子といい仲になったと知り、娘の父親が金持ちに怒鳴り込む。金持ち少しも騒がず、『もし娘さんが妊娠していたら結婚させよう』と約束する。
娘の父親、揉み手をしながら『もし娘が妊娠していなかったら、もう一回チャンスを頂けますか。』」
典型的ユダヤものをもう一つ。
「失業ユダヤ人が暑い砂漠のハイウェイで飲料水を売って大儲けしている同国人の金持ちに仕事を貰いに行った。 金持ち曰く『OK, 俺の隣でネクタイを売らせてやろう。』 失業者『冗談じゃない、この暑い場所でネクタイなんか売れやしませんよ』 金持ち『明日になれば分かる』 翌日水売り場に看板が立った。曰く『ネクタイ着用のお客さんに限り水売ります。』」
蛇足:ユダヤ人は同胞の面倒を良くみる。
レバノン人の小話。
蛇足:ユダヤ人と並んで商売の世界で名高いのがレバノン人だ。日産ゴーン社長はレバノン二世である。
「大店の社長が臨終の床にいる。息子、娘、娘婿たちが揃っている。
社長が訊く。『イスラエルは何処にいる。』
『ここにいます、パパ』とイスラエル。
『イサックは何処にいる?』
『ここにいます、パパ』とイサック。
『アブラハムは何処にいる?』
『ここにいます、パパ』とアブラハムが夫々答える。
瀕死の老社長目を剥いて、『それじゃ誰が店に居るんだ』」
ガイジェゴスの小話。
蛇足:ガイジェイゴスはスペイン北西部地方の住人(スペイン小話のボケ役。)
「銀行に泥棒が入る。刑事たちが来て、捜査が始まる。警部がにやりと笑って言う。
『ガイジェゴスの仕業だな、これは』 新米刑事驚いて訊く。『どうして分かるんですか、警部どの』 警部『見ろ壁 の穴を。入り口と出口を別々に開けやがった。こんな馬鹿なことをするのはガジェゴスだけだ』」
シナ人の小話。
「メキシコ市の迷子アベニュー(実際に存在した)に一つのシナ人経営のカフェがあった。オーナーのシナ人は酔っ払って来て散々飲み食いした挙句、代金を払わない事が度々ある大男のぺぺが大嫌いだった。しかし大男に睨まれるとオーナーは『今に見てろ、シナ人の復讐は怖いぞ』と言うのがやっとだった。勿論ぺぺは歯牙にもかけない。
ある雨の降る寒い夜、来店したぺぺにオーナーは『今夜は俺のおごりだ。好きなだけ飲め』と言った。意地汚いぺぺは散々飲んで酔っ払い、気がつくと床にのびて寝ていた。なんと、腹の上に煉瓦が一つ乗っている。煉瓦には『シナ人の復讐』と書いてある。怒った大男は煉瓦を力任せに酒の並んだ棚に投げつける。「ギャー」と悲鳴を上げるぺぺ。 あろうことか、煉瓦には縄が付いていて、ぺぺの一物に結び付けられていた。」
蛇足:シナ人を馬鹿にすると怖いぞ、と言う教訓。
シナ人と書くのに他意はない。ただ語呂が良いからだ。
さて、お気に召してくださっただろうか?
こんな風に延々と小話は続くのである。老若男女、貧富を問わず、小話は多くの国で国民的娯楽と言って良い位熱演され、傾聴されるのだ。私は日本にいる時、一番郷愁を感じるのはこの小話を語ってくれたり、聴いてくれる友人たちのことだ。奇特な友人たちのお陰で新作小話は三カ国(米、墨、西)からメールで届くが、聞いてくれる相手が少ないので欲求不満になる。日本の友人には落ちが分からぬ者もたまにいて、解説する必要もある。 しかし、目下大人気の綾小路きみまろや伊那かっぺいの小話、漫談は外国ものに比べて一歩も引けをとらないのは流石である。お陰で時々、Made in Jpanの小話を翻訳しては、外国に住む家族や友人たちにメールしている今日この頃である。
小話、Jokes & Chistes その二
前号の小話、Jokesの評判が良かったと聞いて気をよくしていたら、今回私の日本滞在で初めて芸柏lでない人から小話を聴かせてもらった。その人はキミマロが大好きと言う83才のご婦人で、仲間うちで小話の応酬合戦をしていると言う。すっかり嬉しくなって私もメキシカンJokesをご披露したものだ。
さて、腹のたつことばかり起こる今日この頃だが、「笑う門には福来る」と言うように、小話で大いに笑って憂さを吹っ飛ばそう!と言う訳で今回も輸入物の小話をお届けしよう。
女性上位
男性が女性に質問する。
「なぜあなた方女性は男性をご自身の聡明さではなく、外見で印象付けようとするのか?」
女性が答える。「男が馬鹿である可柏ォの方が盲である可柏ォより大だからよ。」
教訓:下手に哲学的質問をすると、逆襲されるのでご用心!
男の友情、女の友情
妻が一晩外泊する。朝帰りして、夫に昨夜は一番の親友の家に泊まったと言い訳する。
夫が妻の親友10人に電話すると、全員がその事実を否定した。
夫が一晩外泊する。朝帰りして、妻に昨夜は一番の親友の家に泊まったと言い訳する。
妻が夫の親友10人に電話すると、10人のうち7人がその事実を認めた。残る3人は、事実を認めた上、お宅のご主人は未だここで寝ています、と答えた。
蛇足:これを送ってくれたアメリカ婦人曰く。「我々女性も男性を見習わなければね。ハッハッハ…....」
浮気
重役タイプの男二人がレストランに入る。奥のテーブルに座っている二人のご婦人を見て、白髪の方がビックリ仰天。「出るぞ」と連れに言う。何故だと訊くハゲの方に、「あのテーブルの一人は女房で、もう一人は俺の愛人だ」と。
連れもテーブルの二人を見て、これまたビックリ仰天。「なんと言う偶然の一致!」
蛇足:これが分かれば、貴方は一流の小話通。
大学教授
耳の遠いクリントン教授の奥さんに男の赤ちゃんが生まれた。同じ頃教授は一冊の本を上梓した。一人の男子学生が学内で会った教授に「お子さんの誕生おめでとう」と挨拶する。教授、本の件と勘違いして曰く:「諸君の助けが無ければ出来なかったことです。」
神父と尼僧
そのオウムはかつて売春宿に飼われていた。ある日地震で宿は潰れ、可哀想にオウムは道端に置いてけぼりにされてしまった。そこへ一人の尼僧が通り、オウムを修道院に連れ帰った。すると、そこには近辺の司教、司祭さんたちが一堂に会していた。
オウムは一同を観察しながらぐるりと部屋を一回りして、感想を述べる。
「女たちは新顔だが、客たちはお馴染みさんだな。」
蛇足:神父さんたちの名誉にかけて、これは下種の勘繰りである。
不倫亭主
女性が薬局に入り、薬剤師に砒素を注文する。砒素は猛毒なので薬剤師は当然のことながら、使用目的を女性に訊く。女性は平然と「夫を殺すためです。」と答える。
「とんでもない、殺人目的のためと知っては、砒素は売れません。」と薬剤師は断る。
女性はハンドバッグを開き、彼女の夫と薬剤師の妻が同衾している写真を黙って薬剤師に見せる。
怒りと驚きで青ざめた薬剤師は意を決したのか、これまた平然と答える。
「大変失礼しました。砒素はお売りします。処方箋を持っていらっしゃるとは、知らなかったものですから。」
解説:あちらの女たちは、「あんたが浮気するなら、あたしもするよ。」と亭主を脅迫する。
英国貴族
ブラッドシャー州の領主である伯爵は毎週火曜の午後、彼の城に親しい友人たちを招いてアフターヌーン ティーパーティーを開くのが習慣だった。
ある火曜日、いつも時間に正確な伯爵がいつになっても現れないので、招待客たちは、何かあったのかと、心配しだしていた。
その時、伯爵の執事が現れて、格調高いクイーンズ イングリッシュで次のように語った。「レイディーズ&ジェントルメン、伯爵は遅刻をお詫びすると、垂オております。遅刻の訳は長い間お会いになっていなかった昔からの伯爵のガールフレンドであるパリのマダムルルーに再会されたからです。伯爵は可狽ネら、二時間後にお茶を飲みにいらっしゃいます。不可狽ネら、10分後にいらっしゃるとのことです。サンキュウ ヴェリーマッチ。」
教訓:言い訳をする時は、どんな場合でも優雅にしよう。
ゴルフ靴下
亭主が奥さんに「ハニー、俺のゴルフ靴下はどこにある?」と訊く。「何よ、それ?」
と怪訝そうな奥さん。 亭主曰く「あの18個穴がある靴下だよ。」
教訓:ゴルフは金持ちのスポーツですぞ。
貞操帯
時は中世、場所はヨーロッパの一国。新婚ほやほやのアントニオにも庶嚮Rへの従軍
命令が下り、いよいよ明日は出発となった。彼の一番の悩みは愛する新妻の貞操帯の鍵
を誰に置いていくかと言うことだった。親戚、友人の中で一番堅物のラファエルに頼もうと決めてからも、くどくどと緊急事態以外は絶対鍵を開けてはいけない、と命令かつ懇願したものだった。
きぬぎぬの別れの後、アントニオが庶嚮Rの軍勢に加わって町外れにかかった時、「おおい、おおい、」と一騎の騎士が全速力で追いかけて来る。ラファエルが怒鳴っている。
「アントニオ、鍵が違うぞ。」
教訓:これぞ究極の危機管理だ。
欧米、ラテンアメリカ諸国では、以上のような小話を老若男女を問わず、仲間うちで披露し合って楽しんでいる。皆さんがお仲間にこの輸入小話を一つでも語って、楽しいひと時を共有して下されば、望外の幸せである。
お後が宜しいようで。又、来月お目に掛かりましょう。
小話、Jokes、& Chistes .
「ハルとナツ」に明け暮れた一週間が過ぎた。ブラジルの過酷な環境下で、一所懸命に
生き抜いた同胞の歴史は、多大の感銘を我々に与えてくれた。
さて、外国小話は楽しいが、私は川柳も大好きだ。先月女性下着メーカーのトリンプは、「インナーウエア川柳」と題して2005年度の入選作を発浮オた。中々の傑作なので紹介したい。
第一位<経済効果賞> クールビズ ネクタイ代でブラを買う
第二位<サポーター代撫ワ> いざドイツ 私のカップもA代
第三位<気をつけま賞> この胸をヨセアゲ詐汲ニ 人は言う
ブラには種も仕掛けもあるので、<気をつけましょう>とはメーカーとしては、思い切った発言と言うより、自社のハイテクノロジーを誇っているんだろう。
では、例によってメキシコ小話をお届けしよう。
無二のチャンス
ウイークデイの昼前、近くまで来た夫は、自宅に寄る。寝室に入ると、女房は上気した顔で何か興奮気味である。怪しんだ夫が押入れを開けてみると、何と彼のボスが隠れているではないか。
ばれたと気付いた女房は、咄嗟に指示を出す。「あんた!こんな良いチャンスはないよ。社長に昇給を要求するのよ。」
<蛇足> 戦場の負けを交渉のテーブルで勝つ、このしたたかさを日本人は学習して欲しい。
最後の小切手
今日娘が18才になった。嬉しいことに、娘の養育費仕払いも今月限りで終わる。
そこで娘に私の家に小切手を取りに来いと、電話を掛けた。
現れた娘に、
「娘よ、この小切手を君のママに渡して、こう言ってくれ。『これが俺から受け取る最後の小切手だ。』後でその時君のママがどんな撫をしたか、そっと教えてくれ」と頼んだ。
娘は小切手をもって、出て行った。私は、あの魔女がなんと言うか、どんな面をするか、をあれこれ想像して、ニヤニヤしていた。
やがて娘が戻ってくると、私は間髪を入れずに尋ねた。「君のママは何て言った?」
「貴方はパパじゃないってことを白状できるこの日を、ママはずーっと待ってたってたんですって。」
<蛇足> 女の方が一枚上手と言う話。
多数決
マルティッタが恋人に電話している。
「ねー、三人の人があんたと私は、出来るだけ早く結婚すべき、と言う意見なのよ」
「誰だい、その三人は?」と恋人が訊く。
「私のパパとママと産婦人科の先生よ。」
<蛇足> メキシコには「出来ちゃった婚」と言う言葉はないが、シングル・マザーは掃いて捨てるほどいる。
貞操帯
レイディー・ギニベーレが夫のランスロット伯爵に質問した。
「変な奄聞いたのよ。昨夜貴方はポーカーで負けて、私の貞操帯の鍵を取られたって、本当?」
<蛇足> 欧州男たちは出来得るならば、ご先祖様の様に女房に貞操帯を装着させたいと夢想している。
ナ ゾ ナ ゾ
高速道路を走行中の純朴且つ堅物のマヌエルの車をヒッチハイクして、グラマーで触れなば落ちん、といった風情の女が同乗してきた。
少し走ると、マヌエルは眠くなってきたので、仮眠を取ろうと、路肩に駐車する。
ところがグラマーの方は、若い男と一緒にいて春意を催すと言うか、その気になって来てしまった。
グラマーはマヌエルに話しかける。
「ねーえ!もし若い娘が、車の中でエッチしたくなったと言ったら、君はどうする?」
「うるさい! 何て恩知らずな女なんだ!俺は眠いんだ。お前のナゾナゾにつきあうのはごめんだ。!」
<蛇足>これは絶滅寸前の希少価値ある若者の話である。
今回は、美人の上男好きで、しっかり者のメキシコ女たちの特集をお届けした。こう言う女たちと付き合っていると、自然男どもも精神的に逞しくなって来るのである。日本の女は、子持ちになると、女であることを辞めて母性に専念してしまう。勿体ない話だ。
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