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三笠宮さまと早大海外移住研 富田 眞三さんから送って頂いた寄稿文です。
早稲田の海外移住研究会のOB富田眞三さんから今年の文化の日にちなみ文化勲章受賞者、文化功労者等を皇居宮殿での茶会に出席された三笠宮さまを拝見され46年前の早稲田祭での出来事を思い出されたとの事で貴重な『懐かしい早稲田青春劇場の一こま』を書き送って呉れました。46年前と言えば1959年私が早稲田に入学した年の早稲田祭ですが、当時は移住研究会とは全く関係なく早慶戦、安保反対デモ、クラブ活動では、雄弁会、政治学会、ESS等に所属多感な学生時代を初めていた時期です。海外移住研究会に入部した3年の秋にはこの投稿に出てくる懐かしい諸先輩は、卒業しておられ直接お会いする機会がなくその後メキシコに雄飛されていた富田先輩を除いてお会いしており懐かしい限りです。
写真は、富田先輩にお願いして送って頂いたものです。


三笠宮さまと早大海外移住研
今日の新聞に今年度の文化勲章受章者、文化功労者を皇居宮殿に招いた茶会が4日、開かれ、天皇皇后両陛下と共に三笠宮さまも出席された、と報じられていた。お元気そうな90才の宮様を拝見して、46年前の早稲田祭を思い出した。

その年早大移住研は、既に恒例になっていた展示会の他に、三笠宮さまをお招きして「インカ帝国について」と題する講演会を行ったのだ。これは、移住研の部長をお願いしていた滝口教授(人類学)が当時東京女子大教授だった三笠宮さまとお近ずきであったことが幸いして、実現したのだった。

この企画は移住研の幹事長だった山本雅俊君が中心となって行われ、我々4年生にも役割が分担された。覚えているのは、後藤 薫君が好評封切中の映画を借りてきて、講演の後に上映したことだ。私は滝口教授のご指名で、宮さまのご案内役を仰せつかった。その時、教授から宮さまを「三笠先生」とお呼びするよう指示されたことを記憶している。

講演当日、三笠宮さまは、女性秘書運転のニッサン・ブルーバードで早稲田にいらっしゃった。講演会は超満員となり、宮さまは当時、日本人は誰も知らなかったマチュピツの紹介等で聴衆を魅了して下さった。講演会は無事成功裡に終了出来た。

さて、講演の後、我々は宮さまを早稲田祭一番人気のマンガ展にご案内した。当時のマンガ展は、4コマのマンガを実物大の人形を使って展示する方法をとっていて、実に面白かった。それもその筈で、後年日本の漫画界をリードした俊才たちが作品を展示していたのだ。

ところが、宮さまはマンガの意味するところが全くご理解出来ないのだ。例えば、「満員電車のシーン」をご覧になっても「満員電車」にお乗りになったことがないので、「満員電車とは何ぞや」から、説明をしなければならなかった。

後藤薫、佐藤喬、村井修、山之内良隆、山本雅俊等々の諸君が、私を助けて宮さまにご説明してくれたことを良く覚えている。

その時、三笠宮さまは実に悲しそうな顔をなさって、「我々皇族は、一種の片輪ですね、国民の皆さんのことを何も知らないのですから。」と仰ったのが印象に残っている。現在の皇室には、二代に亘って民間出身の方がお妃になっていらっしゃるので、大分事情は改善したことだろう。

さて、宮さまにつらい思いをさせてしまったマンガ展会場の商学部校舎4階(宮さまに4階まで歩いて上り下りさせたとは、何たる失礼、と今になって反省している。)から階段を下りて来る途中、私は重い雰囲気を和らげようと宮さまの歯医者さんに話題を転じてみた。

私事で恐縮だが、実は戦前戦後を通じて、宮中の歯科医を勤めていた祖父の一番のお得意様が三笠宮さまだったのだ。その事を垂オ上げると、宮さまは直ぐ「加藤は元気か?」と思い出して下さった。「そうか、君は加藤の孫か」と大層懐かしがって下さったものだ。

そんな訳で宮さまのご気分も晴れやかになったころ、一階にたどり着いた。そしてもう一つの事件が起こった。トイレに行きたいと仰る宮さまをご案内して、私も連れションと洒落てお供したのである。
 
二人並んで放尿していると、宮さまからご下問があった。「富田君、この『人類の将来は、君の手に握られている』とは何のことかね、と。 と言うのは、立っていらっしゃる宮さまの眼前の壁にそんな落書きがあったのである。

マンガ展の続きのような展開に、若干23歳の小生がどう対応したか、覚えていないが、あれは巧まざるユーモアと言うか、愉快な経験だった。三笠宮さまは我々がお渡しした金一封を持って、滝口先生以下移住研メンバー一同の見送りの中、ご機嫌よくお帰りになった。

懐かしい早稲田青春劇場の一こまである



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